アユモドキ（Parabotia curta）の氾濫原環境への適応と繁殖場所の保全·復元

摘要

アユモドキParabotia curtaは，1977年に種を対象に国の天然記念物の指定を受けた淡水魚である．本種は天然記念物指定後も減少し続け，絶滅の危機にある．その生態に不明な点が多く，幻の魚とも言われていた．人知れずの絶滅を回避するため筆者は15年以上に渡りNPO法人岡山淡水魚研究会と共にアユモドキの保全活動に携わってきた．本稿では，まずアユモドキの氾濫原環境を必要とする特異な生態を概説する．そして，河川·氾濫原および水田地帯においてアンブレラ種かつ象徴種である本種を核とした保全活動を紹介する．これらから人里の中に暮らす本種の保全上の課題を考察したい．