河床の岩盤化が河川性魚類の生息環境に及ぼす影響と磯河床の復元に向けた現地実験の評価

摘要

河床堆積物，特に礫は，河川性魚類の生息環境を形成する重要な要素である·河道にみられる瀬淵の連続構造は，河川内の流れの不均一性に対応した礫の分級堆積によって生じる（山本2005）．淵はサケ科魚類（Inoue et al．1997；Urabe＆Nakano 1998），瀬は底生魚類（Van Snik Gray＆Stauffer 1999；Carter et al.2004）の重要な生息環境となることが知られている．また，礫の下の間隙は底生魚類の生息場，産卵場として利用されること（Goto1993；渡辺ほか2001）や大径の礫によって生じる流れの緩流部は，冬季のサケ科魚類の生息場となることも報告されている（Bustard＆Narver1975；Nagayama＆Nakamura 2007）．さらに，魚種によって選好を示す粒径は異なるものの，礫は底生魚だけでなく，サケ科（Kondolf＆Wolman 1993；Muhlfeld2002），キュウリウオ科（佐川ほか2002，2003），コイ科（梶野ほか2003）など，様々な魚種の産卵にとっても不可欠な要素である．