2段階開ループ型送信電力制御を用いた近似同期CDMAモデム

摘要

我々はこれまでに，設計自由度の高い自営IP（internet protocol）網向けセルラ方式無線通信ネットワークとして，SS－CDMA（spread－spectrum code－division multiple－access）フレキシブルワイヤレスネットワークを提案している．高信頼無線アクセス系セル内上り回線では，近似同期CDMA方式を提案している．本方式は近似同期符号を用いることで，セル内各上り回線信号間伝搬時間差に起因する同期ずれを許容した上で，信号捕そく#12539;復調をチャネル間干渉なく行うことができる．よって，高精度な送信電力制御が不要となる．本論文では，近似同期CDMAモデムを再構築可能なディジタルLSI（large－scale integration）であるFPGA（field－programmable gate－array）上に実装し，その特性評価を行った．干渉局がない状態で，ビット誤り率（BER）10~(-3)における設計した近似同期符号の理論値からのE_b/N_0劣化量が0.9dBと良好な特性を得た．更に，キャリヤ周波数偏差0.3ppmで希望局対干渉局信号受信電力比-40dBとなる干渉局1局を加えた条件においても，BER 10~(-3)におけるE_b/N_0劣化量が，干渉局なしの場合と比較して0.2dBと大きな劣化なく通信可能であることを示した．その結果，2段階閉ループ型送信電力制御で上り回線が実現できることを示した．