力ワン七ラー三十六何川を行く（第12回）北上川/ナイル川

摘要

北上川は，岩手県の七時雨山（1063m）山麓岩手町御堂の弓耳の泉に源をもち，ずっと南下して，盛岡で奥羽山脈の秋田県境に位置する駒ヶ岳（1637m）から流れる雫石川と，北上山地の早池峰山（1917m）から流れてきた梁川を合し，花巻では西からの豊沢川，東からの猿ヶ石川を併せ，北上では，西からの和賀川，水沢·江刺では，焼石岳（1548m）からの肝沢川，一関では磐井川，そして最後に，栗駒山（1627m）からの迫川らを併せて，現在は，川北町でぐっと左折して宮城県北上町の追波湾で太平洋に流れ込むのが本流である．以前は，神取?和渕を巡って石巻市で石巻湾に出て太平洋に注いでいた．今は，このルートは旧北上川と呼んでいる．全長249km，流域面積1万150km2の堂々たる東北第1の河川であり，その流域に生まれ育った文人詩人が目白押しで，たとえば，石川啄木，宮沢賢治，柳田国男，あるいは，高村光太郎と，きら屋のごとくだ．啄木の「やわらかに柳青める北上の岸辺目に見ゆ泣けとごとくに」がすぐにも口をついて出てくるし，歌謡曲で何度もリメークされる「北上夜曲」など，北上川に関わって人口に胎灸しているものは枚挙に暇がない．