木崎晩成館通信：無名憧憬

摘要

この7月5日に白秋系短歌の重鎮#12539;紺野幸子（こうこ）さんが亡くなられた。 享年92歳。 本名は中村幸子（なかむらさちこ）といい、わたしとは長い付き合いである。 そのお住まいは現役のときの駅までの通勤途上にあり、瀟酒な二階屋の玄関脇には「鑚（かなしき）短歌会」の白木の名板と「紺野幸子」の表札が出ていた。 あるときこの家屋から、わたしの隣家の主婦がゴミ出しに出て来られるのと鉢合わせになった。 隣家の主婦は長く派出ヘルパーをしておられて、その派遣先だったのである。 そういえば、中村さんには次のような近作（遺作ではないかと思っている）がある。