データ送信期間が重複するモバイル端末間で代表端末を決定する通信負荷分散方式

摘要

今後，膨大な数のM2Mデバイスがモバイル網へ接続することで，モバイル網の通信コネクションが増加し，制御信号数が増大すると考えられる．増大する制御信号数を抑制するために，従来，端末間通信するグループ内の一部のM2Mデバイスをモバイル通信する代表端末とし，代表端末にセンサデータを集めるデータ集約方式の活用が考えられる．データ集約方式では，代表端末が各センサデータのサーバへの到達許容遅延内にデータをまとめてサーバに送信する．しかしながら，従来の単純なデータ集約方式には，代表端末を固定とすることから，代表端末にモバイル通信が集中する問題がある．また，データの到達許容遅延に対するモバイル通信コネクションの削減効果が評価されていなかった．本稿では，動的に一時的な代表端末を決定することでモバイル通信負荷を分散する臨時代表決定方式を提案する．提案方式では，センサデータの到達許容遅延の期間が重複するM2Mデバイス同士から一時的な代表端末を決定する．計算機シミュレーションによる評価を行い，データ集約方式のモバイル通信コネクションの削減率を評価した．また，提案方式が従来のデータ集約方式よりも代表端末のモバイル通信負荷をデータ発生頻度に応じて分散することを確認した．