波形情報最適化による複数目標物体UWBレーダイメージング

摘要

UWBレーダは高い分解能を有し，SEABED法などの高速画像化手法を用いた各種の応用が期待される．当手法は受信信号からアンテナ位置と伝搬距離に関する等位相面（擬似波面と呼ぶ）を抽出し，変換式に基づいて画像化を行う手法である．しかし目標物が複雑な形状の場合は信号が干渉するため，正確な擬似波面抽出を行うには従来よりも高度な信号処理手法が要求される．我々はすでに擬似波面抽出を，波形情報を評価関数に用いた最適化問題に帰着させることにより，複雑形状物体に対しても正確な画像化を行うことを可能とした．しかし先行研究では散乱波形が常に既知かつ不変であるという簡略なモデルを用いるため，実環境下における信号処理手法としては十分でない．そこで本研究では，従来考慮されていなかったアンテナ指向性の周波数特性に依存する波形情報を，最適化の評価関数に盛り込むことを試みる．これにより散乱波形が未知かつ一意でない実環境下においても対応が可能となる．この手法を実際の複数目標物の受信信号に適用し，高精度な画像化を行う．