運動透明刺激観察時の内因的知覚交替に関わる脳神経活動のMEG事象関連同期·脱同期による検討

摘要

運動透明視とは，同一平面上に異なる方向に動くランダムドットパターン（Random Dot Pattern；RDP）を重ね合わせた刺激を呈示したにもかかわらず，被験者には異なる奥行き平面上で運動する透明なドットパターンが知覚されるという現象である．この運動透明刺激を観察し続けると，複数の異なる知覚状態が自発的に交替するが，その脳活動については未だ解明されていない．本研究では，運動透明刺激観察時の内因的知覚交替に関わる皮質活動を調べるために，視運動性眼球運動と脳磁図（MEG）を同時計測し，眼球運動の緩徐相の切り替わり時刻を決定し，その時刻を基準に事象関連同期·脱同期の解析を行った．その結果，後頭領域近傍のMEGセンサ群において知覚交替前-300msにα波帯（8-13Hz）の事象関連脱同期が見られた．