地域の職場におけるメンタルヘルスへの介入

摘要

現代社会においては，不況による倒産やリストラ，国際競争などにより職場のストレスが急激に強まり，過労死や自殺が医学社会学的問題となり，職場のメンタルヘルスのあり方への関心が高まっている．しかし，現状では，職場での精神衛生の必要性の認識は高いものの，十分な対策を実施しているところは少ない．とくにうつ病に関連する自殺予防は重要である．うつ病が軽症#12539;中等症であれば，精神科診療を専門としない一般医でも対応可能なことが多く，プライマリケアの場面での適切な対応が望まれる．筆者らは，日頃から地域や人間関係を含めて職場をよく知る一般医が，精神衛生対策により積極的に取り組む必要があると考えている．これまで地域医療におけるメンタルヘルスの実践で，役所などの公的機関を対象とした研究は少ない．今回筆者らは，地域医療の第一線を担う一般医が，メンタルヘルス管理に介入し，どのような影響を及ぼしたかについて調査したので報告する．