画像の微小スケール空間を活用した特徴点抽出に基づく手書き文字認識法に関する検討

摘要

局所画像特徴量を用いた認識手法は，画像中の一般物体認識に対する一つのアプローチである。画像中の手書き文字を物体と捉えてこの枠組みを適用することが可能であるが，その場合，文字の形の多様性により適切な局所特徴量を抽出することは難しい。本研究では，このような枠組みによって多様な字形を有する手書き文字の認識を行うため，特徴点を抽出する際のスケール空間に上限を設け，微小スケール空間からの特徴点抽出に基づいて文字の構造情報の抽出を試みる。また，多様な字形に対応した特徴点のマッチングを実現するため，特徴点のスケールを動的に変化させてマッチングを行う手法を提案する。本手法の有効性を検証する実験の結果，およそ8割程度の字種に対して文字の構造情報を抽出できたことが確認できた他，参照文字画像の種類によらず，従来法に比べて手書き文字の認識精度を改善できることが分かった。