MRSA感染症

摘要

黄色ブドウ球菌はブドウ球菌属の一種で，ヒト の鼻前庭や皮膚の常在菌である.ヒトから分離されるブドウ球菌属は約15種類存在するが，黄色 ブドゥ球菌はそのなかで唯一，コアグラ一ゼと呼 ばれるゥサギの血漿を凝固させる酵素を産生し， コアダラーゼ産生性は黄色ブドゥ球菌の同定検査 にも用いられる.コアグラーゼは黄色ブドウ球菌 のもつ毒性因子の一つでもある. 黄色ブドウ球菌のうち，beta-ラタタム薬である メチシリンに耐性を獲得したものをmethicillin resistant Staphylococcus aureus (MRSA)と呼ぶ. なお，メチシリンに感受性を示す黄色ブドウ球菌 をmethicillin susceptible Staphylococcus aureus (MSSA)と呼ぶ.黄色ブドゥ球菌自体が起こす感 染症としては，皮膚。軟部組織感染症（手術部位 感染症を含む），骨感染症，敗血症などが頻度が 高く，主に皮膚の損傷部位が菌の侵入門戸となる. また，呼吸器感染症としては肺膿瘍が有名である.