ランプ型秘密分散法を利用した動画像向け電子透かし

摘要

動画像向け電子透かしにとって重要な問題として時間同期外しがある．時間同期外しは時間方向シフト，時間方向スケーリング，位相ひずみの三種からなり，これらの攻撃はユーザーが動画像を編集する上で容易に起こりうる．また，三種の時間同期外しのうちのどの攻撃が行われたかは定かでない．したがって動画像向けの電子透かしは先に挙げた三種の時間同期外しに対する耐性を併せ持つのが理想的である．更に，動画像はその流通過程でさまざまな圧縮形式に変換されることがあるため，圧縮に対しても耐性を有するべきである．本論文ではランプ型秘密分散法を利用して三種の時間同期外しに耐性を有する電子透かし方式を提案する．また，動画圧縮等によって透かし情報に誤りが生じても正しい透かし情報を得られるように，Reed-Solomon符号を利用したランプ型秘密分散法を用いることで誤りを訂正し，圧縮耐性を実現する．