食道がん

摘要

食道がんは，食道上皮より発生する上皮性腫瘍であり，全がんのなかで罹患数は世界第8位，死 亡数は世界第6位に位置する主要ながんの一つで ある.組織型により主に扁平上皮がんと腺がん に大別されるが，本邦では前者が90以上と圧 倒的に多く，欧米では後者が約半数を占める.こ れは欧米では腺がんの発生母地としてのBarrett 食道の罹患率が高いことや，アルコール代謝に必 要なアルデヒド脱水素酵素2(ALDH2)活性のへ テ口欠損型が日本人に多いことなどによる.男女別では男性に多く発症し，80以上が発展 途上国にみられる.東アジアから中央アジアにか けてはとくに罹患率が高い，扁平上皮がんにおい ては喫煙，アルコール，熱い食物の摂取などが， 腺がんにおいてはBarrett食道や肥満などがリス ク因子としてあげられる.悪性度が高い疾患であ り，早期発見?早期治療がきわめて重要ながんの一つである.