WebVRを利用した多人数参加型インタラクティブプロジェクションマッピング

摘要

建物や物体などにコンピュータグラフィックス映像をプロジェクタなどで投影する映像手法であるプロジェクションマッピングが普及しつつある．また，このプロジェクションマッピングとさまざまなセンシング技術を組合せることによって観客が参加したり体験できるインタラクティブなパフォーマンスやアートであるインタラクティブプロジェクションマッピング（IPJM）が注目されている．同時に多人数が参加するIPJMでは，厖大なトラフィックが限られた空間内で短時間に発生するため，スムーズな映像を投影するためには適切な制御が必要である．一方，2016 年には家庭用ゲーム機用ヘッドマウントディスプレイが発売されるなど，仮想現実（Virtual Reality，VR）もより身近になってきている．Web上でVRを体験できる技術の総称をWebVRと言うが，このWebVRと，多くの観客が参加するインタラクティブプロジェクションマッピングを組み合わせることによって，専用アプリやツールを用いることなくVRコンテンツを共有することができ，プロジェクションマッピングとして新たな演出の可能性を広げることができる．そこで，著者らによって開発された大規模リアルタイムインタラクティブプロジェクションマッピング制御システムと，WebVRを組み合わせた，新たなプロジェクションマッピングを開発し，実際に2016年12月に上映された関西学院大学時計台プロジェクションマッピングに適用した．本稿では，WebVRと大規模リアルタイムインタラクティブプロジェクションマッピング制御システムのアーキテクチャについて述べ，実際に一部実装して実施した関西学院大学時計台プロジェクションマッピング2016における実施結果について紹介する．