上肢到達運動での指先ジャンプ外乱時における視覚遮断が体性感覚に与える影響

摘要

目標点に向かう上肢到達運動中に，指先の視覚情報が突然ジャンプ（視覚外乱）しても，短潜時で正確な修正を行うことができる．このような修正運動には視覚と体性感覚によるフィードフォワード制御やフィードバック制御が用いられていると考えられるが，視覚が体性感覚に影響を与えているかは明確になっていない．そこで，本研究では視覚情報が体性感覚に影響を与えるかどうかを調べるために，指先位置が左右方向もしくは前後方向へ突然ジャンプする視覚外乱後に視覚遮断を行う場合と行わない場合での到達終点の精度と終点の95％信頼楕円の面積および重心を観察した．その結果，視覚外乱による修正終点はジャンプ量によらず一定となり，95％信頼楕円の面積がジャンプ量によって大きくなったが重心位置は一定の範囲内に到達した．これより視覚外乱に対するフィードフォワード制御の出力結果（到達終点位置）は一定であると考えられた．