CDNにおける従属型キャッシュシステムの提案

摘要

CDNにおいて，キャッシュサーバを数多く設置した場合には，オリジンサーバの負荷が大きく増大する技術的な問題がある．これは，オリジンサーバに，コンテンツ取得やコンテンツ同期のためのキャッシュサーバからのアクセスが集中するからである．そこで本論文では，我々は"CDNにおける従属型キャッシュシステム"を提案する．提案システムは，数台の高機能マスタキャッシュサーバと，安価な多数のスレーブキャッシュサーバで構成される．オリジンサーバの負荷の削減は，スレーブキャッシュサーバでのコンテンツ同期の処理を再考することで実現する．スレーブキャッシュサーバは，オリジンサーバに対するキャッシュ同期の処理を一切行わず，マスタキャッシュサーバに依存して動作する．すなわちスレーブキャッシュサーバは，オリジンサーバではなくマスタキャッシュサーバに同期してコンテンツを更新する．本研究では，提案システムを具体的にインプリメントし，検証．評価を行う．その結果，コンテンツの平均更新時間を従来システムと同程度に維持したまま，オリジンサーバの負荷を低減できることを示す．