遠隔合同授業における学習者の思考を深めるためのデジタル道具箱の開発

摘要

遠隔合同授業を通して，学習者の遠隔合同授業へ参画する態度，コミュニケーション能力を育成するとともに，学習内容に対する深まりや広がりを期待することができる．これまでの山口県萩市における小学生を対象とした遠隔合同授業の実践を通して，児童が学校を超えて様々な考えに触れる機会の創出は達成できている．しかしながら，児童がその機会を通して，他者の考えと自身の考えを比較したり，関連づけたりなどの活動を通した思考の深まりや広がりを経験するまでには至っていない．そこで，本研究では，現在開発している「つながる授業アプリ」上に，学習者の思考を深めるためのツール群を「デジタル道具箱」として実装することを通して，学習者の学習活動の支援を目指している．本稿では，遠隔合同授業における現状の課題を整理して，デジタル道具箱の概念を説明する．さらに，デジタル道具箱のなかに実装する学習者を支援するツールのなかで，思考活動を外化する「ラべリングツール」と学習活動やコミュニケーションの流れを可視化する「学習活動プランニングツール」についての機能を説明する．