多階層予測符号化モデルに基づく高次パターン認識

摘要

皮質領野間の双方向結合の役割を説明する階層的なモデルとして，予測符号化モデルがある．2階層の予測符号化モデルは，自然画像の学習により，V1に類似する特性を獲得できることが示されている．予測符号化モデルがV1に限らず，視覚皮質の階層処理全般を表すモデルであれば，ネットワークの多層化によりITなどの高次領野の特性も獲得できることが期待される．本研究では，予測符号化モデルに基づく4階層のネットワークを構築し，様々な自然画像やアルファベットの学習を行った．学習後，ネットワークの上位層は，ITニューロンに類似する特性を示した．この結果より，多階層の予測符号化モデルは，V1だけでなく腹側経路におけるより高次の階層処理も説明できるモデルであるといえる．