血栓性微小血管症

摘要

血栓性微小血管症（thrombotic microangiopathy：TMA）は，血液微小循環の閉塞性障害であり，全身性または腎内局所での血小板凝集，血小板減少，赤血球の機械的破壊を特徴とする．TMAは，溶血性尿毒症症候群（hemolytic uremicsyndrome：HUS）と血栓性血小板減少性紫斑病（thrombotic thrombocytopenic purpura：TTP）に代表される．十数年来のShiga毒素の分子作用に関する解析が，HUSの理解に多大な光明を投じたのと同様に，過去数年来，von Willebrand因子（vWF）の巨大重合体とその重合体を切断するプロテアーゼ（ADAMTS 13）の存在の発見，さらにはその役割や分子異常の解析が進み，TTPの病態理解に新たな展開を迎えている．