ポリ乳酸系生分解性フイルム「テラマック~reg;」について

摘要

ポリ乳酸は，数ある生分解性プラスチックの中でも機械的性質（剛性，強度）や透明性，安全#12539;衛生性に優れ，最近米国で大規模な商業生産設備も稼働を始めたところから，最もコスト競争力に優れる素材として有望視されている。 さらには，近年単なる生分解性素材としてではなく，植物由来の環境低負荷素材としても注目されている。 実際，これまで石油などの化石資源を原料とするプラスチックや合成繊維に比し，原料の採取から製造に至る工程で使用されるエネルギー（石油換算）使用量や炭酸ガス発生量は最低レベルである。 ポリ乳酸は，熱可塑性の脂肪族ポリエステル樹脂であることから，溶融押出し法によりフイルム，シート，ファイバー，スパンボンド，その他成形品の製造が可能であり，当社はこれらポリ乳酸を主成分とする製品群をテラマック（TERRAMAC~reg;）と称し，すでに事業展開している。 しかし，ポリ乳酸自体は固くてもろい，また熱に弱いなどの基本的な問題点があり，これまで広範な用途展開を妨げてきた。 本稿では，ポリ乳酸系フイルムの特徴とその分解性について概説する。 また，このたび新たに開発された，ポリ乳酸に現在の汎用プラスチックと同等以上の耐熱性を付与したポリ乳酸系耐熱シートについても概説する。