Liddle症候群

摘要

腎臓でのNa輸送において，遠位曲尿細管から集合管において糸球体濾過されたNaの約10％が再吸収される．管腔膜に存在するNaチャネルがこのNa再吸収を行っており，チャネル活性はアルドステロン，バソプレシン，インスリンによって調節されて，生体のNa必要量に対応している．このチャネルを通過してNaが再吸収されると，尿細管の管腔内は負に大きく荷電し，陽イオンであるKとHの分泌が促進される．したがって，チャネル活性の増大は体液量の増加，高血圧，低K血症，アルカローシスをもたらし，レニン-アルドステロン系は抑制されることになる．この大切なNaチャネルの分子実体が上皮型Naチャネル（ENaC）であることが明らかにされ，そのgain-of functionの遺伝子変異によりLiddle症候群が起きていることも判明した．また遺伝子変異の情報よりチャネルの調節機構も解明されてきている．