データセンタネットワークにおける公平性改善のための帯域割当手法の提案

摘要

インターネットを介してデータセンタを利用するクラウドコンピューティングの需要が高まっている．クラウドコンピューティング環境では，ユーザは多種多様な通信端末やアクセス網を通してデータセンタの提供するサービスを利用する．しかし，データセンタとの通信速度（スループット）が通信遅延の異なるユーザ間で公平に提供できないことが問題となる．そこで本研究では，各ユーザに対して公平なサービスを提供することを目的として，データセンタ内で収集可能な情報を基に帯域割当を行う手法を提案する．本手法はデータセンタ内のルータからリンク帯域や競合する通信フロー数，各フローの往復遅延時間などのフロー情報を収集し，収集した情報を基に各フローへ帯域割当を行う．これにより，往復遅延時間が異なるフロー間で公平な通信を実現する．ただし，帯域割当の精度はフロー情報の収集間隔に依存すると考えられる．そこで，シミュレーション評価を行い，適切なフロー情報の収集間隔の設定方法を明らかにし，提案手法の有効性を示す．