地下水流動保全のための環境影響評価と対策: 調査#12539;設計#12539;施工から管理まで

摘要

近年，都市部における高速道路や鉄道などの新規開発プロジェクトでは，これらを地下に計画する事例が増加してきている．事業用地の確保難や，高架構造とした場合，周辺に日照，騒音，振動など様々な環境影響を引起こす可能性が高く，地域住民の理解が得にくい，といつたことを反映したものである． ところが，こういつた長大構造物を地下に建設することによって，新たな環境影響が顕在化する事例が増加してきている．これは，地下構造物の建設による地下水流動阻害である．地下構造物の建設により地下水の流れを遮断すると，上流側で地下水位の上昇，下流側で地下水位の低下が起こり，これらが原因となって様々な地盤環境影響が誘発される可能性がある．このような問題に直面したときに，①地下水流動にどの程度の影響を与えるか，②この結果，どのような地盤環境への影響が考えられるか，③この対策としてどのような方法が考えられるか，といったことを順次検討する必要がある．