ネットワーク上の振動ダイナミクスに基づく新しいノード中心性指標

摘要

近年の情報ネットワーク技術の発展や普及により，ソーシャルネットワーク上での情報交換のあり方が活性化しており，そこから生み出される情報の流通やアクティビティの伝播に関するダイナミクスは興味深い研究対象である．ユーザ間の影響の強さは一般に非対称であるため，ネットワークのダイナミクスには有向グラフとしてのネットワーク構造が反映される．非対称リンクを持つネットワーク構造を行列を用いて代数的に表現すると非対称行列で表現されるが，我々はある種のリンク非対称性をノードの特性に還元することで対称行列を用いたモデル化を行い，ネットワーク上のアクティビティの伝播を記述するための振動モデルを検討してきた．本稿では，振動モデルの応用例として，ノード中心性の拡張した指標を提案する．この指標によって，ネットワークのトポロジカルな構造だけでなく，アクティビティの起点となるノードの偏りや，アクティビティ伝播の経時変化を考慮したノード中心性の記述が可能となる．