多周波ステップCPCレーダによる小落下物検知

摘要

空港滑走路上のボルト等の落下物は，航空機の離発着における直接的かつ重大な危険要因である。この落下物検知のためにレーダを用いた検出システムの開発も進められている。レーダによる小物体検知では、高いS/C（信号対クラッタ比）が得られることが重要である。筆者らはこれまでに，射影変換による車載レーダにおける干渉波抑圧法を提案しており，小物体検知に上記手法が有効であると考えられる。これまでレーダを用いた空港滑走路上の落下物検知の研究例ではFMCW方式が採用されている。FMCW方式のビート周波数には，環境信号に滑走路外からの移動物等の信号の混信が避けられずクラッタ抑圧のためのP行列推定精度の劣化につながる。一方で，筆者らが提案する多周波ステップ方式は，パルスドップラフィルタを備え（すなわち周辺移動物等との信号の混信がない），かつ狭受信機帯域幅で高距離分解能が得られることから上記提案法との適合性に優れていると考えられる。以上より，本稿ではレーダ変調方式として，多周波ステップCPC方式を採用し，地面クラッタ環境下における小物体検知応用に対する有効性についてフィールド実験結果を考察する。