Cell Broadband Engineクラスタ向けスレッド仮想化環境におけるMapReduceフレームワークの実装と評価

摘要

近年，高い演算処理性能を達成するために，Cell Broadband Engine （Cell/B.E.）やGraphic Processing Unit （GPU）などの非対称型マルチコアプロセッサがクラスタシステムに用いられている．しかし，プログラム開発の際には，コンピュータ間通信とコア間通信の両方を記述する必要があり，複雑なプログラミングモデルとなる問題点がある．本研究はCell/B.E.クラスタ向けのプログラム開発支援を目的として，スレッド仮想化環境（TVE）とTVEを用いたMapReduceフレームワークを実装·評価する．TVEはプログラマからコンピュータ間通信を隠蔽するフレームワークである．TVEを用いたMapReduceフレームワークにより，プログラマからコンピュータ間通信とコア間通信を隠蔽し，Cell/B.E.クラスタ上での容易なプログラム開発を支援する．プログラマビリデイの観点では，既存のCell/B.E.クラスタ向けMapReduceフレームワークと比較して，平均33％のコード削減を達成した．性能評価の観点では，通信回数が多いプログラムでは期待する性能が得られなかったが，通信回数が少ないプログラムでは台数効果を得ることができた．