同一命令セットヘテロジニアスマルチコアのための消費エネルギーを削減するタスクスケジューリング

摘要

同一命令セットヘテロジニアスマルチコアとは，高性能コアと高電力効率コアを排他的に動作させることで，システムの性能向上と消費エネルギー削減を両立するプロセッサアーキテクチャを指す．本稿では，組込みリアルタイムシステムにおける同一命令セットヘテロジニアスマルチコアを対象とした消費エネルギーを削減するタスクスケジューリング手法を提案する．まず，高性能コアと高電力効率コアを一対一に対応させたコアペアとし，それぞれのコアの性能比と周波数設定値から定義される正規化性能を導入する．これにより，シングルプロセッサ向け動的·電圧周波数制御（DVFS）手法によってコアペア内の動作コア切替えを実現する．提案するコアペア内のDVFS手法は，各タスクの実行時間の平均値と最悪値の比から正規化性能を算出するLoad Balancing with Average Ratio，および，デッドライン制約を保証する正規化性能を既存手法より厳密に算出するfull look ahead EDFからなる．2種類の方法で算出された正規化性能のうち高いものを選択することで，DVFSの適用においてコアペア内の周波数を平準化して消費エネルギーを最小化する．評価の結果，提案手法は，最大で59.2の消費エネルギーを削減できた．