マルコフ連鎖を用いたX線画像の視覚評価法

摘要

医用画像の評価は，最終的には医師や診療放射線技師といったオペレータの視覚的判断によりその優劣が決定される．それ故に視覚による医用画像の定量評価は，臨床現場において非常に重要である．しかし，その視覚評価を精度よく行うためには，多くの観察者に，より多くの画像を観察させる必要があり，時間に制約がある臨床現場では大きな問題となる．そこで本研究では，その問題点の解消と評価精度の向上を目的に，日常的にⅩ線画像の視覚評価として用いられるC－Dダイアグラムをマルコフ連鎖から導き出される期待値で作成し，これによるX線画像評価を試みた．マルコフ連鎖による推測から，各画像信号強度に対する額察者の応答確率は，いくつかの値に収束することがわかった．また，マルコフ連鎖から導き出された特性と実測値から求めた特性がほぼ一致し，本評価法の有効性が示唆された．