プライバシーの問題とはなにか－フロリディの情報哲学をベースに考える

摘要

Luciano Floridiの主張する存在論的情報プライバシー（Ontological Interpretation of Informational Privacy）は、近年のICTの進展とプライバシーの問題の関係をうまく説明するものとして、一定の評価を受けている。一方、その課題のひとつとして「プライバシーの規範的な側面（Normative aspect）と記述的な側面（Descriptive aspect）が区別されていない」という指摘がなされている。そのような指摘に対し、フロリディの主張するICTの「存在論的再構成（Re-ontologization）」の特性により、記述的／規範的プライバシーのそれぞれが「存在論的」な変化にさらされていると考えるべきではないかと主張する。