6.ヴルダヴァ河畔での死闘（上）

摘要

1936年3月にラインラント進駐に成功したアド ルフ?ヒトラーは,自らドイツの「生活圏」の拡 大のため東方への侵略を計画していた。2年後の 1938年3月には,武力侵攻でオーストリアを難な く併合した。次いで,チェコスロヴァキア政府に 対して，ドイツ人が多く居住していたズデーテン ラントの割譲を強く要求した。チェコスロヴァキア政府は，フランスやソ連などの相互援助条約をたのみとして，これを拒否したため,にわかに緊 張が高まった。イギリスとフランスは一時は軍隊 を動員し,ドイツに圧力をかけようとしたが，ムッソリーニ（図1）の仲介で，1938年9月29日と30日にミュンヘン会談が開催された。この会談には,イギリス,ドイツ，フランス，イタリアの 4カ国が主導権をとっていたが,チェコスロヴァ キア大統領エドヴァルド?ベネシュの参加は,ボイコットされた。