プロジェクト開発の不確定要素が及ぼす影響分析

摘要

組込みシステムは各種デジタル家電や自動車，人工衛星などの製品に用いられており，現在，様々な分野において広く普及している．しかし，組込みシステム産業の進展とともに，新しい課題も生まれており，その一つに仕様変更による手戻りの防止がある．組込みソフトウェアの提供する機能の複雑化により，要求定義の時点で不確定な要素が存在する場合や，急速などジネス変化によるソフトウェア発注者側の仕様変更が行われた場合，設計したモデルが変更に耐えられず，ソフトウェアの開発において手戻りが発生する．手戻りが起こった場合，要求仕様段階で作成したドキュメントの見直しを行う必要があり，設計段階で定義したモデルは修正を余儀なくされる．その手戻りの影響を軽減させるために，設計段階で作成されるUMLモデルから不確定要素による変更の影響度を示すことができれば，変更容易性の高いモデルかどうかを判定することができると考えられる．従って本研究では，不確定要素がプロジェクトに与える影響を設計段階で定量的に分析する尺度を提案し，検証実験によってその有用性を評価した．結果として，人間のUML変更容易性と影響度には強い相関が見られることが分かった．