下水道への膜分離活性汚泥法（MBR）の適用

摘要

昨今の水関連分野における膜分離技術の導入には，目覚しいものがある。 下水道では，これまで膜分離活性汚泥法（MBR）の導入実績がなかったが，最近になって導入が開始され，2005年3月末には下水道用MBRの第1号機が稼働開始する予定である。 日本下水道事業団ではMBRの下水道への適用に関して，1998年以来，研究調査を実施してきた。 その成果の1つとして，MBRに関する技術評価がある。これはMBRの下水道への適用に関して，既往の調査研究成果や産業排水，浄化槽といった分野における知見に基づき，基本的な考え方をまとめたものである。 本稿では，この技術評価の概要について紹介する。 また，MBRの課題であった運転管理費用の削減をテーマとして実施した6者（5社＋1グループ）との共同研究においては，送風用動力の削減，洗浄頻度の低減，余剰汚泥発生量の低減，生物学的リン除去の導入など，さまざまな手法によって維持管理費の削減を達成することができた。 本稿では，この共同研究成果についても紹介する。