熱可塑性スタンパブルシートの製造法の開発

摘要

近年，量産性とリサイクル性の観点から炭素繊維強化熱可塑性樹脂（CFRTP）が注目を集めており，製造技術の開発が活発に行われている。「いしかわ炭素繊維クラスター」は石川県でCFRTPの一大生産拠点の構築を目指して，技術開発と事業化に取り組んでおり，CFRTPスタンパブルシートの開発はその一つである。CFRTP製造には様々な方法があり，これまで多くの研究がされているが，現状の大きな問題の一つは熱可塑性樹脂の高い溶融粘度による炭素繊維への合没の難しさである。その中で溶剤法は樹脂粘度を下げる点で効果的であり，本研究ではこの方法をポリアミド6（PA6）に適用した。PA6は耐溶剤性に優れるが，低コストかつ製造プロセスで扱いやすい溶剤としてメタノール（MeOH）／塩化カルシウム二水和物（CaCl_2）溶媒が知られている。本研究ではこの溶剤を使用したCF／PA6スタンパブルシートの作製法について検討した。