超音波による芽胞形成菌の不活性化

摘要

近年，超音波による殺菌は食品の味·色の変性や環境汚染といった従来の殺菌方法（熱·紫外線·薬品）に挙げられるデメリットが無いため注目されている.超音波を用いた菌·細菌類の不活性化に関する研究は多数報告されている.先行研究として，われわれは菌類のSaccharomyces cerevisiaeや細菌類のEscherichia coliの不活性化について報告した.本研究では，芽胞形成菌の一種であるBacillus subtilisの芽胞及び栄養細胞に対して，6周波数（20kHz, 400kHz, 1.0MHz, 2.3 MHz, 3.4MHz, 4.4MHz)の超音波をそれぞれに照射し不活性化を試みた.また，一般的に殺菌が困難とされている芽胞に対して音響パワー密度を高くして超音波照射を行った.評価にはコロニーカウント，粒子径分布測定，濁度測定及びSEM観察を用いた.超音波照射後の細胞（栄養細胞及び芽胞）に物理的な細胞破壊が確認できた.