ブラキシズムが睡眠に及ぼす影響

摘要

ブラキシズムとは無意識の噛み締めや歯ぎしりの総称で，覚醒時ブラキシズム（AB）と睡眠時ブラキシズム（SB）に分類される．これらABおよびSBの発生頻度は，患者に症状の自覚がある場合，正に相関することが知られている．我々はこれまでに，AB発生を音で知らせるバイオフィードバック治療を施すとABとSB両方の発生を抑制できることを明らかにした．一方で，SBの発生と睡眠の質などの関係性については不明である．本研究では，SBが睡眠に及ぼす影響を明らかにするために，睡眠脳波計測と筋電ブラキシズム検出システムを用いて，SB イベント期間における脳波特徴を解析した．その結果，SB発生後に6波の含有率が有意に減少した．このことは，6波優位となる深睡眠をSBが一時的に阻害し，睡眠の質を悪化させている可能性を示唆している．