透過型両面電波吸収体

摘要

本論文では透過を許容する新しい両面電波吸収体を提案している．従来の透過型電波吸収体は，無損失誘電体層に抵抗皮膜を貼り付ける構造であるが，抵抗皮膜側の入射波に対して無反射ではない．本論文では吸収体の両面に対して無反射となる基本構造を考え，3層誘電体の間に2枚の抵抗皮膜を貼り付けた簡単な構造を提案している．等価回路により本電波吸収体の無反射条件を導出し，誘電体層の誘電率に対する反射及び透過特性を求めている．特に，反射係数の帯域幅は内層の誘電率にあまり依存しないこと，また，透過係数を小さくするには外層の誘電率を大きく，内層の誘電率を小さくすればよいことなどを明らかにしている．更に，本電波吸収体を試作，測定して本理論の妥当性を示している．