表皮効果及び誘電損を考慮した伝送線路モデルの提案と検証

摘要

高速伝送技術の高速化に伴って表皮効果及び誘電損の影響が大きくなるが，マイクロ波領域で用いられる従来の伝送線路の等価回路モデルではそれらの影響が正確に考慮されていない．加えて，従来モデルでは効率的なシミュレーションを行うためのモデルの精度，使用可能な周波数帯域，シミュレーションに要する時間，の三つの要件も十分には満たされていない．そこで，本論文では，次の二つの特徴をもつ等価回路モデルを提案した．（1）物理現象に基づく，数学的手法を用いた表皮効果モデルの導入（2）広帯域で高精度に表現可能な誘電損失モデルの導入．そして，提案モデルを用いて実際のマイクロストリップ線路のモデル化を行い，実回路での比較?検証を行った．その結果，提案モデルを用いたシミュレーションにおいて，従来の等価回路モデルに比べてより広い周波数帯域で高精度な解析が可能になることが明らかになった．