じゃんけん課題における同調的な行動は個人空間距離を縮めるのか？

摘要

本研究では，じゃんけんにおいて他者と同期もしくは同調するような行動を行うことで，その他者との個人空間距離が縮まるのかを検討するため，2つのじゃんけん課題を行った（あいこ条件·カウント条件）。まずいずれの条件でも，参加者には実験者がじゃんけんをしている動画を見てもらった。その際，ある一つの手（例，グー）が他の二つ（例，チョキ，パー）の手よりも多く出るように実験者はじゃんけんをしていた。あいこ条件では，参加者はじゃんけんの動画を見ながら，なるべくあいこになるように，一緒にじゃんけんを行ってもらった。じゃんけん課題の後，実験者との個人空間距離を測定した。一方カウント条件では，動画における実験者のじゃんけんの手がそれぞれ何回ずつ出たかを数えてもらった後，実験者との個人空間距離を測定した。結果は，あいこ条件においてカウント条件よりも個人空間距離が短くなる傾向が見られた。このことから，同期的·同調的な行動が個人空間距離を縮めることが示唆された。