高齢者の左右の手足による選択反応－エラーと脳血流量からの検討

摘要

運動元となる身体部位と運動先となる対象のそれぞれの位置のマッピングが不一致な場合、選択反応に困難さが生じる可能性がある。本研究では刺激の位置と色に対応して、左右に配置したスイッチを左右いずれかの手足で反応する課題を高齢者に課した。エラーと反応時間の分析に加え、課題中の脳活動を近赤外線分光法（NIRS）により測定した。実験参加者は画面に提示される画像の形態情報（○／△）から左右どちらの手（もしくは足）で反応するか、色情報（赤／線）から左右いずれのスイッチを押すか判断した。スイッチを押す手足の左右とスイッチの位置の左右が不一致な条件は一致する条件よりも反応時間が長くなった。測定した16チャンネル中5チャンネルの脳血流量は不一致条件で有意に賦活量が多くなった。高齢者が反応に用いる身体部位のマッピングと不一致な位置にあるスイッチに反応する場合、より多くの脳活動が必要になると考えられる。