漏れインダクタンスの影響を考慮した保持時間制御プライバックコンバータの特性解析

摘要

通常のフライバックコンバータは，時比率対入出力電圧変換比V_o/V_(in)の特性が非線形となり，また時比率対出力電圧の動特性を示す伝達関数上に右半面ゼロ点（RHPZ）が存在する．そのため，動作特性が使用条件に大きく依存し，制御系を不安定にしたり，系の周波数帯域が狭くなったり出力電圧の高速応答が阻害される一因となっている．そこでまず，系を不安定にする主要因であるRHPZをなくす新しい制御方式として保持時間制御方式を提案する．この方式はトランスに蓄積したエネルギーを保持する区間を設け，2次側にその蓄積したエネルギーを放出する区間を一定にしたものである．次いで，このコンバータを最近の低電圧，大電流化したパワーモジュールに適用する場合，トランスの2次側の巻き数が少なくなるためにその漏れインダクタンスが無視できなくなってきている．この漏れインダクタンスを含むコンバータの動作解析を新しいサンプルデータ法により解析し，実験結果と比較して解析の妥当性を示すとともに，漏れインダクタンスの影響を明らかにする．