潤滑油というと,まずは軸受に使用されるグリースやプレス油·切削油等の加工油が頭に浮かぶが,実際は非常に多様であり,さび止め油等の潤滑を目的としないものも存在する.さびを止める方法は種々あり,めっき,化成処理,塗装,およびライニングなど半永久的に防錆する方法と,防錆する期間に合わせて簡易に防錆する方法がある.後者の一例として,一般的な溶剤希釈形および潤滑油形さび止め油のいずれでも,さび止め油を塗布した鋼板などを保管·輸送後にそのまま曲げ·打抜き.プレス成型されることがあり,潤滑を目的としない潤滑油といえる.本稿では後者のタイプの一つである,さび止め油を被材に塗布して防錡を行い,必要に応じてさび止め油膜を除去できるJIS K 2246の「さび止め油」の種類と用途,性能評価方法,適切な選定と現場での注意点,およびさび止め油の動向等について概説する.
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