背景伝搬法による手書き漢字認識

摘要

文字認識の分野において，加重方向指数ヒストグラム法をはじめ，多くの特徴抽出法は文字領域に着目している．しかし，背景領域にも文字の構造が反映されているはずである．本稿では，背景領域に着目した新しい手法として，輪郭線の方向性を背景領域に伝搬させていく背景伝搬法を提案する．背景伝搬法では，方向性の伝搬に弱めを導入して輪郭情報をぼかしていくとともに，加重方向指数ヒストグラム法で有効であった2次元ガウスフィルタによるぼかしを導入し，位置変動に強い安定した特徴量を得る．ETL9B全字種を対象とした認識実験の結果，従来の加重方向指数ヒストグラム法より高い認識率が得られ，手書き漢字認識において有効であることが分かった．