同期CDMAを用いた光テレメトリシステムの特性解析

摘要

近年，病院内では患者の生体情報を無線伝送するテレメトリ技術が広く用いられるようになった．それに伴い．電磁障害の問題に対処するものとして，間接散乱光を用いたテレメトリが新たに提案されている．本論文では，良好な多元接続特性をもつテレメトリの実現を目指し，同期CDMAを用いたシステムを提案する．変調方式には電力効率が比較的優れているパルス位置変調（PPM）を用いる．光伝搬シミュレーションによって送受光器間のインパルス応答を解析し，マルチパス伝搬の影響を明らかにする．またマルチパス伝搬，符号干渉，各種雑音の影響下における提案方式のビット誤り率（BER）を解析する．解析では移体通信を想定し，遠近問題を考慮する．解析の結果，主にマルチパス伝搬や遠近問題の影響により伝送速度は制限されるものの，10チャネル伝送において，ワーストケースでも200kbit／s以上の伝送が可能であり，本方式がテレメトリに有効であることを示す．