不定サイクル演算に対応した分散制御における動的演算バインディング

摘要

オペランドや実行時の状況によって実行サイクル数が変動する不定サイクル演算器を含む回路を効率的に制御するための分散制御方式において，演算を実行するタイミングや順序だけでなく，演算器も動的に決定できる方式を提案する．DelBarrioの分散制御方式は，演算器毎に状態機械を設けて演算の実行制御を行うものであり，回路規模の増加は少ないが，同一演算器に割り当てられた演算の実行順序は変更できない．Pilatoの分散制御方式は，演算毎にその実行の可否を表わす状態変数を設けて演算の実行を制御するため，演算の実行順序を動的に変更できるが，各演算を実行する演算器は固定されていた．本稿の制御方式は，Pilatoの方式を拡張することにより，各演算が実行可能になった時点で空いている演算器を使用できるようにするものである．評価実験を行なったところ，回路規模や遅延は増加するが，実行サイクル数を約6～10％削減できることが確認できた．