X線自由電子レ一ザ一SACLAを利用した新しいX線実験技術

摘要

実用的なX線レーザ一光源であるSACLA (SPring-8 Angstrom Compact free electron Laser)が本格稼働を始めて約3年が経過し，X線領域の光科学は新たな段階を迎えた.X線分光やX線構造解析といった分析法において時間?空間分解能が飛躍的に高まるだけでなく，X線領域においても非線形現象が当たり前に観測されるょうになり，X線量子光学などの新しい研究分野が生まれている.このょうな魅力的な光源であるがゆえに多くの研究者がSACLAの利用を希望しているものの，実験を行うための手法が広く知れ渡っているとは言い難い.これまでのX線実験技術やレーザー実験技術をバックグラウンドとして持つ研究者にとってさえも，X線の超短パルスレーザーを用いた実験について具体的なイメージを持つのは難しいであろう.そこで本稿では，X線自由電子レーザー(XFEL; X-ray Free Electron Laser)を用いた構造解析，非線形X線光学，X線吸収分光の実験を具体例として示し，利用実験技術の解説をおこなう.