マルチエージェントシステムによる電圧制御シミュレーターの試作

摘要

大規模集中型の電力供給形態から脱却するために，将来の電力供給源として分散型電源（Distributed Generation：DG）が期待されており，将来的に電力系統に大量のDGが導入されることが予想される．DGが大量に電力系統に導入されると，電力システムの運用に悪影響を及ぼすことが懸念されている．電力システムの研究分野において，分散型電源を考慮した電圧制御の研究では様々な手法が提案されているが，適正な電圧制御のみに焦点を当てており，各需要家の利得や戦略を考慮していない．しかし，将来的には，電力売買の自由化が進み自由な電力取引が可能になると考えられている．そこで本論文では，電圧制御と電力マネジメントの双方に着目している．本論文では，電力システムモデルを表現可能なMATLAB/Simulinkと，マルチエージェントシステムを表現するためにスマートグリッドの研究分野で最も多く用いられているJADEを用いて，マルチエージェントシステムによる電圧制御シミュレータの試作を行う．また，簡易実験により本提案手法が適切に動作していることを示す．