コーティング材自由表面集中力の理論解（第1報,2次元問題の解）

摘要

近年，コーティング材などの表面改質材の工業的応用が広がり，その信頼性評価が重要な問題となっている．これらの表面改質材では表面層と基材が一種の異材接合構造となり，表面層と基材の機械的特性の相違を考慮した評価法が求められる．一方，自由表面を持つ異種接合材問題の理論解が見当たらないため，このような表面改質材の力学的挙動を把握するには，有限要素法や境界要素法などの数値解析に頼らざるを得ないのが現状である．そこで本研究では，コーティング材のような表面改質材を，表面に異質層を有する半無体としてモデル化し，その自由表面に集中力が作用する問題の基本解を誘導することを目的とする．なお，接合膜内部の集中力問題およびその接触体の近似解析は幾つか報告されているが，膜表面集中力問題の理論解析はまだ報告されていない．異種接合材の理論解析においては，界面を鏡として，荷重点の鏡像点を用いる方法が有効であることがよく知られている．