チューナブル積層マイクロリング共振器の応答高速化と偏光無依存化

摘要

本研究室ではこれまでに，ポリマー材料をコアに用いた熱光学効果によりチューナブル積層マイクロリング共振器フィルタを実現していた．しかし，その時間応答特性には数ミリ秒の時定数と数秒オーダーの2種類の時定数が存在することが確認された．そこで，本研究においてこの応答速度の高速化を目指した．基板ホルダーを従来のスライドガラスからシリコン基板に変えて応答速度を測定した結果，時定数が3.3msec から1.1msecに短縮された．また，これまでの波長可変フィルタでは，波長可変特性がTE偏光とTM偏光で異なっていた．そこで，複屈折率の小さい新しいポリイミドを用いることによって，中心波長温度依存性がTE偏光では-0.063nm/℃，TM偏光では-0.065nm/℃となり，チューナビリティの偏光依存性を3％に低減した．