C言語のポインタ学習における初級者の誤った知識によるメンタルモデルの形成パターンの分析

摘要

C言語はプログラミングの基礎として広く学習されているが，ポインタの習得で躓く学習者が多い．コマンド文法に関する言語仕様や表記法に加え，ハードウェアの仕組みも理解する必要があることがポインタの学習を難しくしている要因の一つである．従来の学習支援システムでは，学習者に試験問題を課し，誤った箇所に直結する内容を再学習させるアプローチを取っていた．しかし，ポインタのように複合的な知識を学習する場合，学習者の欠落している知識によって，異なるメンタルモデルが形成され合理化されるため，正しいソースコードを提示しても，学習者のメンタルモデルを再構築できるとは限らない．本研究では，C言語のポインタ学習に着目し，学習者の誤ったメンタルモデルの型を推定し，その型に適する教材をユーザアダプティブに提示するような学習支援システムの構築を目指している．本稿では，誤ったメンタルモデルを持った学習者に対し，正しいメンタルモデルの再構築を促すために，どのような段階でどの知識が必要か考察した．