モーメント法における可変負荷の等価励振源

摘要

アンテナ素子に装荷された可変負荷を励振源で等価的に置き換えることにより電流分布解析を高速化する手法を述べる．この手法は，負荷の等価励振源を求める際に負荷の数と比例する電磁界解析が必要であるが，負荷リアクタンス値が変わってもその都度電磁界解析を繰り返す必要がないという特長を有する．エスパアンテナを例に挙げて，その特性を解析することにより本手法の有効性を定量的に示す．また，本手法をモーメント法と融合することにより，1）本手法において計算時間の大部分を占めている電磁界解析の必要回数を削減，2）モーメント法で逆行列を求める手順を削減，という工夫によりさらなる高速化が実現できることを述べる．さらに，本手法は，モーメント法を1回実行するだけで得られる無負荷状態でのアドミンタンス行列から可変負荷装荷状態に等価な励振源が得られることから，その適用範囲を直線ダイポールに限ることなく，任意形状·多給電·多負荷を有するアンテナにも拡張できるという汎用性を秘めていることも示す．